小金沢連峰 白谷ノ丸(1920m)、黒岳(1987.5m)、川胡桃沢ノ頭 (1940m) 2011年7月26日

所要時間 5:10 車道終点−−5:11 湯ノ沢峠−−5:44 白谷ノ丸−−6:00 黒岳−−6:20 川胡桃沢ノ頭 6:25−−6:45 黒岳−−6:56 白谷ノ丸−−7:14 湯ノ沢峠−−7:15 車道終点

概要
 湯ノ沢峠から川胡桃沢ノ頭を往復。湯ノ沢峠付近は深い笹藪の中をきれいに刈り払われた登山道を登り、白谷ノ丸付近は開けた草原帯。白谷ノ丸から先はシラビソ、コメツガの樹林帯に突入し展望が無くなるが、川胡桃沢ノ頭では樹林が切れて展望を楽しめる。


 山梨県には黒岳が2つあり、どちらもその山塊の主峰と呼べる山である。一つは御坂山塊の黒岳、もう一つは小金沢連峰の黒岳だ。今回は甲斐駒の翌日に標高差の少ない湯ノ沢峠より後者に登ることにした。黒岳の南北には白谷ノ丸及び川胡桃沢ノ頭という1900m台の山名事典記載のピークがあり、真夏の時期でも早朝の涼しい時間帯なら大汗をかかずに登れると踏んだ。

車道終点 車道終点から湯ノ沢峠方面の道

 湯ノ沢峠に向かうのはそれこそ20年ぶりくらいで、前回の林道の様子は全く覚えていない。ロードマップを見ながら県道を進み、天目山温泉で標識に従って右上に入り、あとは道なりに進んでいく。予想に反して広い舗装道路であった。そして湯ノ沢峠まで約2kmというところで舗装道路は山肌を巻くように北上、峠へは砂利道を右に入る。さほど荒れた道ではなく頻繁に車が入っている様子だった。鹿が多く林道上を逃げるので鹿のお尻を追いかけるようにゆっくりと走行。終点はトイレのある広場で、ここが今夜の宿となった。夜中に雷雨が来るかと思ったら満天の星空が広がったままだった。

 翌朝、薄明るくなって起床、朝飯を食って出発。どうも上空は雲が出ているようだ。予報では今日の方が昨日より大気の状態が不安定で場所によっては朝から雷が来るとのこと。こっちには来るな! 念のためゴアと傘を持って出発。以前、牛奥ノ雁腹摺山に登ったときは笹の海の中を泳いだ記憶があり、川胡桃沢ノ頭も笹の中と予想したが、朝露で濡れた笹に突っ込むのはちょっとやだなぁ。

湯ノ沢峠 笹藪の刈り払い

 林道の続きのような広い道を上がるとすぐに湯ノ沢峠。ここで左に曲がって笹の刈り払いの登山道を行く。普通はこの標高だと下草の無いブナ科の広葉樹林かシラビソ樹林だが、なぜかここは笹が密生しており、刈り払いがないと激藪だ。幸い、刈り払いは完璧で体に触れる笹はほとんど無い。

稜線はガスに覆われる ガレの横を登る
草原に変わる 白谷ノ丸山頂
白谷ノ丸から見た大月〜丹沢(クリックで拡大)
白谷ノ丸から見た南ア(クリックで拡大)

 やがて右手にガレが登場、樹林が切れて展望が開けるが今日はガスがかかったり切れたりで富士山も時々隠れてしまう。南アルプスは雲の向こうだ。砂の上には多数の鹿の足跡。どこもかしこも鹿が増えているようだ。再び樹林と笹の中を登り、傾斜が緩むと樹林がきれいさっぱり消えて草原状になった場所に出た。晴れていればいい展望地なのだろうけど。右手には岩が点在する砂礫の小ピークがあり、そちらに踏跡が分かれていた。小鞍部を越えて登りにかかり、開けた草原を登り切ってなだらかなピークに到着、ここが白谷ノ丸だ。文字が消えた山頂標識があるだけで、地図で場所を気にしていなければ通過してしまうだろう。ここは南半分が草原で展望地であったが、今はガスが流れている。幸い、帰りにはガスが切れてどうにか南アを眺めることができた。

白谷ノ丸より先は樹林帯 白谷ノ丸、黒岳鞍部付近は落葉広葉樹林
登山道は整備されている 小金沢黒岳山頂

 白谷ノ丸を境にシラビソ樹林に突入する。今度は笹は皆無でどこでも歩けるような植生で気持ちいい。黒岳との鞍部付近のみ落葉樹林帯に変わり、ここも笹なしで気持ちのいい場所だ。登り返して少し標高をあげるだけで再びシラビソ樹林に変わった。深い樹林を進み、傾斜が緩んで上空が開けた明るい場所に飛び出すとそこが黒岳山頂だった。頭上は開けているのだが周囲360度は背の高いシラビソに囲まれて展望は皆無、大菩薩嶺と同じような光景だ。景色が見えないとせっかく登っても楽しみ半減だろう。もし展望が開けていれば甲府盆地の反対側には南アルプスがずらっと並んで見えるはずだ。今は平日の早朝なので当然のように無人であった。

再びシラビソ樹林を行く たまには広葉樹林も

 黒岳山頂は素通りして川胡桃沢ノ頭を目指す。この区間はアップダウンの少ない平坦な稜線が続き、ほぼ水平移動でOKなはずだ。笹さえ出てこなければ展望は無いが快適に歩ける。ただし今の時期は虫が多く虫除けが必需品となろう。幸い、今朝は西よりの風が強く虫が飛ばされてしまうようで稜線上では纏わり付かれることはなかった(駐車場では虫がうるさかった)。道もしっかりしており迷うような場所や危険箇所も無かった。

川胡桃沢ノ頭山頂 川胡桃沢ノ頭から見た富士山
KUMOライクな標識
川胡桃沢ノ頭から見た南ア南部(クリックで拡大)
川胡桃沢ノ頭から見た南ア中部〜北部(クリックで拡大)

 いつ笹が出てくるかと思いきや、ずっとシラビソ樹林が続き、最後に樹林が開けて草原状になった場所に出て、そこに川胡桃沢ノ頭の山頂標識があった。地図を見るとなだらかな尾根の肩の部分を山頂としており、平坦な地形なのでどこか一番高い場所があるわけではなかった。一応、GPSの表示に従って山頂を探してみたが、肩ではなく緩く下り始めた斜面の途中であり、地形的には山頂標識がある場所を山頂とするのが妥当と思えた。川胡桃沢ノ頭からは雲海の上に出た南アルプスを見ることができた。山頂標識の中には茶色の小ぶりの横長の標識があり、もしやKUMOか?と思ったら「ヒッチ」との署名。KUMOでなくてちょっと残念。

 帰りは往路を忠実に戻る。帰りも誰とも会うことはなく静かな山歩きを楽しめた。

 

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